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チェスで勝つ

ムーナ・ホワイト  /  2025年5月12日  /  読み終えるまで4分  /  サーフィン, カルチャー, スポーツ

ムーナ・ホワイトが、サーフィンで夢のチューブライドに挑んだ体験を語る。

ほとんどのサーファーは、チューブ内では集中した険しい表情だが、ムーナ・ホワイトは笑う方が好きだ。写真:キルヴァン・バルダザーリ

潮流に沿ってパドリングしながら、緊張を鎮め、ゆっくりと呼吸するよう努めた。白いプラスチックのチェス駒が横を漂っていく。とっさにつかみ取り、それをビキニボトムの縁に押し込んだ。

“私は行ける。”

数週間前、パートナーのケアヒと共にムンタワイ諸島に来た。声高に宣言したことはなかったが、チューブの中で30代になることが夢だった。ところがこの10日間、私は小さめの波の急斜面で転倒するばかりで、「2フィートの波でテイクオフもできないのに、どうやって夢のチューブを捕まえるというの?」と思っていた。

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ムンタワイ諸島は、トロピカルな背景と、世界有数の最も素晴らしく、最も危うい波をそろえる。ムーナは自分の順番を待つ。写真:キルヴァン・バルダザーリ

けれど今、この2週間サーフィンをしていた岩礁に戻ったのは、私達がそのために延泊したうねりが来たからだ。私は自分が準備できていることを願った。

最初の波に向けてパドリングし、広大な白波をかろうじて乗り越え、ポケットに入った。そこで急角度の尖った波に遭遇した。ボトムに近づき、つま先に至るまで体中の筋肉を緩め、どうにか波頭をくぐり、ついにチューブに入った。その夜、誇らしさと疲労で顔を輝かせながら、サーフィン用のウェアを脱ぐと、私の幸運のポーン(歩兵)がバスルームの床に落ちて弾んだ。

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ムーナとケアヒ・ド・アボイティスは、いつものスクーターで岩礁に向かう。写真:ムーナ・ホワイト・コレクション

翌日のうねりはさらに大きかった。出会った数人のサーファーは、私がハワイから来たと聞くと、そこにいることに納得したといったようにうなずいた。地元では穏やかな波にしか乗らないこと、これまで経験したのは小さなチューブを片手で数えられるほどであることは言わなかった。

数時間座って順番を待ちながら、目指すべきものを心に留めた。波頭が重なり合う二重の波でサーファー達がターンに遅れるのを私は見ていた。岸側の岩礁にぶつかるまで形が全く予測不能なその波は、やがて重なり合い、巨大な空洞になった。急いで安全な潮流へ脱出する人。インパクトゾーンに浮上して、次の波が頭上で砕ける前にすばやく息継ぎをする人。

私が望ましい波を見つけると、行こうと決心する前に、ほかの誰かがパドリングを開始した。すると、ありがたいことに、数人のサーファーが私に行けと呼び掛けてくれるようになり、私は彼らの判断を全面的に信頼した。上手くいった時もあったし、いかなかった時もあった。それでもその信頼は、想像していた以上に出来の良い、長いチューブというご褒美をくれた。

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二重の波がどのようなものか不思議に思っている方へ:ケアヒは白波の下で態勢を整え、絶対的流出の中へ滑り込もうとしている。写真:キルヴァン・バルダザーリ

ついに大物がこちらに向かって来て、私は絶好のポジションにいた。その波が欲しかったが、結果が心配だった。そこは「外科医のテーブル」と呼ばれる、岩礁の中でも浅く、情け容赦のない部分なのだ。うねりが弱い日でも、トラに引っ掻かれたみたいな背中の傷、肩の脱臼、ボードの破損、顔面の裂傷はめずらしくないことを知っていた。

「行け!」岸側からケアヒのエールが聞こえた。それは私が求めていた安心だった。すばやくボードの向きを変え、テイクオフする。沈んでいく太陽の強烈な輝きに照らされた厚みのある波頭が巻き上がり、私を空洞に招き入れる間、ラインを維持した。光にほとんど身を任せて、降り注ぐミストに包まれた。吐き出され、私は両腕で誇らしく天を突いた。

“私はまだ行ける。”

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