
サバの調達
タイセイヨウサバは小さな魚ながら、さまざまな健康効果をもたらす重要な栄養素が含まれています。また、マグロやメカジキなどの大型魚にみられる高レベルな有害物質の蓄積は起こらないため、より安全に食べることができます。
タイセイヨウサバは、1缶あたり約20gのたんぱく質(1日の摂取量の40~42%)を含み、ビタミンB12、セレン、ビタミンE、ナイアシンの優れた供給源です。タイセイヨウサバは食物連鎖の下位に位置し、動物性プランクトンを食べているため、大型魚にみられる有害物質を蓄積することはありません。有害物質は食物連鎖において、動物が食べたり食べられたりすることで濃縮されるためです。
調達:スペインからのごちそう
赤い糸は、サバの好物である小さな甲殻類を模しています。餌は必要ありません。
Amy Kumler
春になるとスペイン北部のビスケー湾にやってくるタイセイヨウサバは、代々受け継がれてきた伝統的な技法で漁獲されます。
春のサバ漁シーズン、天候が不安定になりがちな夜明け前に、小型漁船がサバを求めて出航します。魚の群れに遭遇すると、サバが好む小さな甲殻類に似せた赤いウール糸を巻いた30本もの釣り針を投げ入れます。この方法では、餌となる魚が不要で、混獲もほとんどなく、網の底で魚がつぶされることもないため、品質も保証できます。水揚げされたサバは、地元の缶詰工場である〈コンセルバス・アントニオ・ペレス・ラフエンテ〉に運ばれ、軽く味付けされ、エクストラバージンオリーブオイルに漬けて缶詰めされます。
環境:小さな魚で、大きな影響力
Illustration: Ilka Hadlock
タイセイヨウサバを食べることは、マグロのような大型魚の乱獲を防ぎます。その結果、資源量の少ない魚種を回復させることができるのです。
「サバ、マイワシ、カタクチイワシなど大型魚の餌になる魚は、食物連鎖の下位に位置します」と、魚類保護に取り組む〈グッド・フィッシュ・ファウンデーション〉の海産食品評価者であるタチアナ・ロダーは言います。「個体数が多いので、大型魚よりもはるかに早く個体数が回復力します」 グッド・フィッシュ・ファウンデーションは、サバを食べる人間や他の生物種に十分な資源が残されていることを確認するため、サバの資源量を慎重に評価しています。
歴史:カンタブリア地方の漁業組合
ビスケー湾に面したカンタブリア地方の村、サン・ビセンテ・デ・ラ・バルケラ。人口4,000人の村の運命は、目の前の海の健康と生産性に深く関わっています。
Amy Kumler
スペイン北部のビスケー湾沿岸にある昔ながらのこの村では、漁師と加工業者が協力し、魚にも地域社会にも等しく健全な未来を確保しています。
深い森と山に囲まれたカンタブリア州の海岸線全域で、何世紀にもわたってこの海域で漁を行ってきた多くの家族が、それぞれに所有する小さな漁船で海に向かいます。スペインのこの自治州で、パタゴニアのアンチョビやタイセイヨウサバを捕獲する漁師たちは、中世に遡るコフラディアと呼ばれる組合に属しています。組合は利益や最良の漁法を共有し、働き手の安全を確保します。また、独自のバーを持ち、フェスティバルを行う社会的な組織でもあります。この協力の伝統と、世代を超えて受け継がれる会員資格が、海洋資源とそれによって成り立つコミュニティを将来にわたって守るという強い責任感を生み出します。
パートナー:科学による基準
フィールドワークの一環として、地元の魚市場で漁獲の現況を調査する〈グッド・フィッシュ・ファウンデーション〉のタチアナ・ロダー。スペイン、サントーニャ地方
Amy Kumler
私たちは、オランダのヴィーネンダールにある〈グッド・フィッシュ・ファウンデーション〉と協力し、カンタブリア州の漁船団が捕獲するビスケー湾のタイセイヨウサバが真に再生可能な資源であり続けるように務めています。
魚類の保護団体や科学組織と直接的な協力関係にある数少ない食品企業の1社として、パタゴニア プロビジョンズは故郷である地球を枯渇させるのではなく、保護するための解決策を見つけることを目標にしています。〈グッド・フィッシュ・ファウンデーション〉は、ヨーロッパ漁業の持続可能性を評価し、漁師や養殖業者、加工業者、小売業者と協力して、シーフードの購入者が環境に配慮した食物を選択できるように支援しています。また、消費者向けの持続可能な魚介類ガイドの発行や、料理人へのアドバイスも行っています。